From:太田輝昭
自宅の書斎より、、、
私は水泳が得意だ。(専門は剣道だが、、)
小学校4年生で授業中、ずっと泳いでいた。
もちろん、足をつかずに、、、
たぶん、1kmは泳いでいた。
大人になって、水泳連盟のC級指導員の資格もとった。
だから、バタフライもできる。
個人メドレーで、規定時間内に入らないと資格はもらえない。
潜水20mできないといけない。
しかし、、、
水泳指導ができなかった。
教師になった頃、生徒をプールに入水させることで精一杯だった、、、
ろくな指導をしたことがなかった。
初めて勤務した学校は荒れた中学校だった。
ほとんど水着を持ってこなかった。
「何で持って来ないんだ!やる気のない生徒ばかり、、、。」
心の中でそう思っていた。
指導といえば、叱ることしかなかった。
力で従わせ、プールに入れようと思っていた。
入水させることで精魂疲れ果てていた。
ろくな指導ができずに水泳の時期が終わった。
むろん、泳げない子の気持ちもわかるはずもなかった。
全く鈍感で、未熟な教師だった、、、、。
それから、勉強熱心な教師集団に出会った、、、。
指導方法を研究するようになった、、、
そして、研究、研究、研究、、、、した。
ついに、ついに、ついに、、、研究したものを本に書いた。
この本の中で、指導名人の根本正雄氏は次のように述べている。
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水泳指導の系統には、次のようなものがある。
(1)伏し浮き→面かぶりクロール→クロール→平泳ぎ→背泳ぎ
(2)ドル平→バラフライ→クロール→平泳ぎ→背泳ぎ
(3)背浮き→ちょうちょう背泳ぎ→背泳ぎ→平泳ぎ→クロール
(1)は現在学校教育の中で行われている系統である。伏し浮きから入り、クロール、平泳ぎへと指導していく。
この指導が長く行われてきたが、欠点は水に顔のつけられない子どもや恐怖心の強い子どもには不向きだということである。
伏し浮きができなければ、クロールへはつながらない。
浮いて呼吸をするまでに時間がかかる。
(2)は学校体育研究同志会が開発したドル平泳法である。
確かに呼吸の指導については効果がある。
ただバタフライがクロールより先に指導する系統になっているので、指導に自信のない教師には難しい。
(3)は鈴木勘三氏が実践された系統である。
こ指導の特徴は背浮きから始まることである。
背浮きからちょうちょう背泳ぎ、平泳ぎ、クロールという系統になっている。
そのため顔に水のつけられない子どもでも短時間に泳げるようになる。
・・・・・(略)・・・・・
太田輝昭氏の実践は、鈴木勘三氏、鈴木智光氏の実践を踏まえた内容である。
太田氏の10のステップは次のようになっている。
①ステップ1 水中歩行 25m
②ステップ2 背浮き 3分(ヘルパーを装着してもよい)
③ステップ3 ちょうちょう背泳ぎ 25m
④ステップ4 クラゲ浮き 10秒
⑤ステップ5 ダルマ浮き 10秒
⑥ステップ6 けのび 10秒
⑦ステップ7 ボビング 20回
⑧ステップ8 連続ダルマ浮き 30回
⑨ステップ9 壁をもってのクロールの息継ぎ練習
⑩ステップ10 平泳ぎ、クロール25mへのチャレンジ
これは前述した「背浮き→ちょうちょう背泳ぎ→背泳ぎ→クロール」の流れである。
習熟過程は次のようになっている。
①水に慣れる 水中はしり、もぐりっこ 基礎感覚づくり
②水に浮く 背浮き→伏し浮き→ダルマ浮き 基礎技能づくり
③呼吸が出来る 壁を持っての息継ぎ 基礎技能づくり
④泳ぐ 背泳ぎ→クロール→平泳ぎ 課題づくり
以上の基礎感覚づくり、基礎技能づくり、課題づくりが各ステップに位置づけられ、誰でも泳げるように工夫されている。
水泳は水に浮いて、呼吸をしながら進む動きである。
水に浮くためには、脱力が必要である。
脱力するためには、水に対しての恐怖心を取り除く必要がある。
そのために第一段階とては水慣れを行う。
水慣れの動きとしては、水中走り、もぐりっこの二つに分けられる。
・・・・・(略)・・・・
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一緒に学ぶ仲間と、夏休みに
25m泳げない子だけを集めて、「水泳教室」を開いた。
5日間。
9名中8名が25m泳げようになった。
以下が映像(一部のみ)。
太田輝昭
沖縄県立公立高等学校 保健体育科教諭 TOSS沖縄代表
「知的な学びは楽しいもの」のモットーのもと、授業の腕を上げるために日々、研鑽している。TOSS授業技量検定三段。剣道教士七段。琉球古典音楽野村流音楽協会新人賞。京都教育大卒。琉球大学院教育学研究科教育専攻保健体育専修卒。琉球大学医学部保健学科博士後期課程在学中。単著『「平泳ぎ」「クロール」で25m泳げる10のステップ』(明治
図書出版)編著『高校生が夢中になる知的な授業』(明治図書出版)、共著『沖縄から平和学習へのメッセージ』他多数
H25文部科学省委託事業「教員の資質能力向上に係る先導的取り組み支援授業」受託。