プロは伝える技術を持っている

From:太田輝昭

 

書斎より、、、、

 

宣言が解除されたが、コロナ対策に苦慮していることと思う。

感染防止をするために、我が勤務校も工夫をしている。

宣言中のことだが、

LHRにおいても防止のための活動が強いられた、、、。

 

LHRで防止のために、HR役員がいろいろと考えてくれた。

LHR

「コウノドリ」というドラマを観ることになった。

私は、ほとんどニュース、スポーツ以外、テレビを観ないので

このドラマを知らなかった。

有名なドラマみたい。

5,6年前かな?ヒットしたドラマ。

 

このドラマを観て、現在の生徒の入試の学びに転嫁する。

感動した!で終わらせないために、、、。

 

ドラマの作りを分析することで、

「面接」「志望理由書」の「表現」の技術を考えさせた。

 

こういったことは、プロ教師としての我々の

『授業(表現)』にも転嫁できる。

 

少し長いが、学級通信に書いたので紹介する。

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 「巡る物語」

2021.9.14(火)

110

コウノドリ第2話  あっ?聞こえない、、、、?

先週の金曜日のLHR、武道場で「ウチワ卓球をする」という案があったが、コロナ感染防止のため使用ができなかった。急きょ、教室で「コウノドリ第2話」を観た。誰一人として、声を出す者はいなかった。お陰で感染防止にはとても良い取り組みとなった(2学期のHR役員に感謝!!)。太田も初めて観るものであり、感動のドラマであった。保育の授業で観たりしているようだが、出産における物語なので、「生命」を考えさせられる。

一番、感動的で、涙する場面は次だ。

出産は奥さんの命に関わる。患者の容体が急変した時、奥さんの命を選択するのか、赤ちゃんの命を選択するのか。

永井氏が公園で自問自答している時、コウノトリ先生がベンチに腰かける。

「どうしてハル(奥さん)だけが、子どものために命かけないといけないんですか。」

「どんなお産も100%安全ではありません。赤ちゃんを産むということは誰にとっても命がけなんです。奥さんは今でも赤ちゃんを守るために、必死に闘っています。僕には奥さんが全身で訴えていると思うんです。赤ちゃんを産みたいと。」

(女性は、赤ちゃんを産むのが命がけ。将来、子どもを生むということ。自分が母親から命がけで生まれてきたこと。どちらも感謝でしかない)

 ヒロ(永井氏)はハルの動画を観て、回想する。ハルが8週になるお腹をさすっている場面。母になるうれしさ。母子手帳を出して赤ちゃんの名前を書く所。つわりでベットで苦しんでいる場面。お腹で子どもが動いている場面。喜びと苦痛の場面が交互に表れる。その時、ハルの声が急に途切れる、、、、、

「ヒロ君、やっぱりあるんだね、、、、、」聞こえない!!ハルの声!!。

耳に入ってこない。ハルの口だけが動いている。ヒロの心理がその言葉を消している。口は確かに動いている。何を話しているのだろう?音は確かに鳴っている。聞きたくない!という気持ち。この言葉は何だったのか?、、、、

 急に場面が変わる。病室。ハルが危篤になる、、、。

緊急病棟。慌ただしくなる、、、。医者、看護士が準備に慌ただしく動いている。緊急事態。

心臓が止まってしまう、、、。心臓マッサージ。

ヒロが駆けつける。ハルが危ない、、、。先生が懸命に心臓マッサージ。

 その時、ハルの言葉がヒロに聞こえてくる、、、。

「ヒロ君、やっぱりあるんだね。、、、、自分の命より大切なもの。やっぱりあるんだよ。このいとおしさは愛だね!

ヒロは決断する。赤ちゃんを助ける。

コウノトリ先生に、言う。

「赤ちゃんを助けてください。ハルの望みを叶えてあげてください。」

ハルのお腹をカイザー(帝王切開)する。3分で。心臓マッサージが続く。

 ハルの闘いが始まる。自分の命と赤ちゃんの命。自分の心臓が動いている時しか、赤ちゃんが生きない。

医師と患者、赤ちゃんの懸命な闘いが続く、、、。

 赤ちゃんがお腹から取り出される。臍帯を切る。

 赤ちゃんの背中を摩る。赤ちゃんが泣かない。更に摩る、、、、。やっと、赤ちゃんが泣く。(呼吸を始めた。赤ちゃんは助かった) しかし、ハルの命は亡くなった。

「お母さん、赤ちゃんは頑張りましたよ。」ハルの顔のそばに赤ちゃんをのせる。ハルの命と引き換えに赤ちゃんが無事生まれた。「自分の命より大切なものがある。愛おしさは愛だ。」言葉がよみがえる。

愛に生きる母親の姿が美しい。出産というテーマで、命について考えさせられた。

 

「巡る物語」

2021.9.16(木)

112

コウノドリ第2話 「使われている技術」を分析する!

「志望理由書」「面接練習」等を進めていることと思う。「志望理由書」「面接練習」も同じことだが、「自分を表現して相手に伝える」ということになる。「伝え方」によって、上手く伝わったり、上手く伝わらなかったりする。そのため、一字一句の語句を分析したり、吟味したりする。面接においても仕草、何をスピーチするかを吟味する。表現するには、技術があり、技術の組み合わせで相手に伝わる。同じように、コウノドリも娯楽、エンターテイメントの「感動」を共有して終わってもいいのだが、ドラマも「相手に伝える」という表現活動になる。そこには、技術があり、技術の組み合わせで組み立てられている。どのような技術が使われているのか。それは、どのような効果を生むのかを検討しても面白い。技術を知って、自分の「表現活動」に転嫁することができる。何かを成し遂げるためには、感情だけでなく、分析力も必要となってくる。感情の頭ではなく、理論的な頭を使うことになる。今後、あなたは職業を選択していくことになる。職業の場面でも理論的な分析が必要となってくる。そういった意味で、「コウノドリ」を分析してみる。

「コウノドリ」のドラマをすべて観たわけではないので、第2話に限っての分析になる。

分析1 第2話の1番のクライマックス(一番、盛り上がる所)は、2日前に書いた「ハルが心停止する時の赤ちゃんを出産するシーン」になる。ヒロがハルを助けるか、赤ちゃんを助けるかの選択する場面。ハルの言葉を思い出す場面。ヒロが動画を観たり、周りの楽しそうな家族の様子を見ながら、過去、ハルと一緒に赤ちゃんについて話し合って楽しい場面を思い出しているシーン。それが事故により一瞬で失われた。ハルとの回想シーンで、赤ちゃんについて、思い出す。しかし、ハルの最後の言葉の声が聞こえない。人は、求める情報しか入ってこない。目に見えるもの、耳から入っている音など。人間心理を見事に表現しているシーンだった。物理的には、声は出ているのだが、わざと音を消すことでヒロの心理を表している。音が鳴らない状況から、ハルが危篤なときに、音が入ってくる。視聴者は、ここでハルへ、感情移入する。女性なら、母親という立場で将来、出産をするときに、「自分の命を犠牲にして、赤ちゃんを助ける」ということ。そこに共感が生まれる。この場面で涙を流すと想定して作っている。

分析2 第2話冒頭。「出産は奇跡です。生まれるまで何が起こるか分かりません」と出産シーンからドラマが始まる。出産シーンは人間の生命誕生の1番のドキュメント場面。それから入ることで視聴者を惹きつけている。

分析3 周産期母子医療センターは、産科と新生児科から成り、あらゆるリスクに対応している。産科と新生児科との立場の違い、母親の気持ちを優先するか、母体の安全を優先するかの対立軸が常に起こっている。救命救急として患者を助ける医師と、産科の医師(コウノトリ先生)の立場の違い。対立がある。

コウノトリ先生が、ヒロに奥さんの命を助けるか、赤ちゃんを助けるか決めることを伝える場面。研修医は、ヒロに伝えることに抵抗を示す(両方の命を助けないといけないが、それができない。冷酷な宣言になる。研修医はこの宣告が理解できない)。これも対立軸を表現している。こういった場面は日常生活に多々存在する。これもまた視聴者の共感を生んでいる。今は理解できないが、後々理解できるようになっていくという共感。

物語の作りは、最初に「困難な葛藤場面を描く」。その後、最後には、対立が「協調」や「和解」で締めていく。「冷淡さ」と「患者の気持ちを優先する優しさ」との対立軸。(星野源が演じる四宮先生(冷淡さ。)とコウノトリ先生との対立軸。)

分析4 「コウノトリ」というのは、赤ちゃんはコウノトリが運んでくれるという話がある。

なぜ、「コウノドリ」というタイトルになっているのか。「コウノトリ」は分かるが「コウノドリ」と「ト」が「ド」と濁点になっているのか。作者の意図があった。ネットで調べると分かった。見事だった。意味が分かった。

 

分析5 コウノトリ先生がなぜ、ピアノを弾いているのか。他話を観ると解明されるのかもしれない。ここにも疑問を残す展開にしている。(推測だが、患者を助けられなかったという無念などの葛藤をピアノにぶつけているのかもしれない。これもピアノで表現しているように思う)

 

分析6 また、頻繁に、前の画像が部分的に入り込んでいる。物理的には、そのままの映像を流せばいいのだが、なぜ、そのようにしたのか。ここにも意図がある。人間心理を表現している。人間というのは、見たままとして動いていくのではなく、前のシーンが残像として残って物事を理解していく。これを巧みに表現したのだ。映像の作り方の技術が入り込んでいる。先のゴットファーザーなどは、大きく物語の切り替えが所々に起こっている。テレビでも「ガイヤの夜明け」という番組を観るが、物語が2つ、3つと交互に入れられている。視聴さを飽きさせないように、「あれ?あの話はどうなったの?」と「ジラシ」が入っているように視聴さの関心を引っ張っている。これも技術だ。

分析7 ドラマの映像に「タラタラ、、タラタラ」という音楽が入ってドラマが進んでいく。この音楽も「危機」に向かっていく人間心理を表現している。音楽により、視聴者の緊張感が高まっていく。

分析8 「タバコを吸っている妊婦の物語」「子宮摘出するかどうかの妊婦の物語」を入れることで様々な物語を解決している医療センターであることがわかる。様々な困難さが伺える。3つの物語も対立軸で組み立てられ、同じ課題を解決していくという流れを全体として組み立てている。

分析9 予告編の場面。四宮先生(星野源)が小児科の子どもに読み聞かせている場面。読み聞かせを終わり、手を差し伸べた時に、手が真っ赤に染まる。音楽も急変する。一瞬、「ドキッ」とする。恐ろしい映像に変わる。四宮先生の回想場面になる。このドキッとする場面で次回の予告となる。何があったのだろう?と興味をそそる。次回を観たくなるような表現を使っていることになる。

 

 深く突っ込むといろいろと見えてくる。「深掘り」という。実は、面接でも志望理由書も同じで大学の先生は、その人なりや、深さを見ている。「どれだけの深さがあるのか」を。深い突っ込みで今まで、見えなかったものが見えてくるようになる。

P.S.

何気なくみる「エンターテイメント(ドラマ等)」だが、視聴者を「感動させる、楽しませる」ために、様々な技術が使われているんだよ。

別の角度から、観てみると見え方が違ってくる。自分の時間がある時だからこそ、そういった見方をしてみるのも「学び」につながる、、、、。

**********

 

我々の「プロの授業」にも転嫁できる。

「授業」もさまざま技術で組み立てる。

「授業」という「表現活動」で、

子どもに伝えていく、、、、。  


 

ーおおた てるあき

 

 

 

 

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太田輝昭

沖縄県立公立高等学校 保健体育科教諭 TOSS沖縄代表 

「知的な学びは楽しいもの」のモットーのもと、授業の腕を上げるために日々、研鑽している。TOSS授業技量検定五段。剣道教士七段。琉球古典音楽野村流音楽協会新人賞。京都教育大卒。琉球大学院教育学研究科教育専攻保健体育専修卒。琉球大学医学部保健学科博士後期課程在学中。単著『「平泳ぎ」「クロール」で25m泳げる10のステップ』(明治

                図書出版)編著『高校生が夢中になる知的な授業』(明治図書出版)、共著『沖縄から平和学習へのメッセージ』他多数 

                H25文部科学省委託事業「教員の資質能力向上に係る先導的取り組み支援授業」受託。




  

 


 

  

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