From:太田輝昭
書斎より、、、、
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放課後、雨の校庭をながめていた時だった。
四年生の男の子がぼくの側に来てしばらく休んでいた。
彼はしばらくして「ぼく死にたいんだ」とぽつんと言った。
「どうして?」と、思いがけない言葉を聞いて、どきまぎしながらたずねた。
「ぼく、馬鹿だから・・・・・」
はっきりとした口調で答えた。
「そんなことないよ。馬鹿なんていないよ。努力すれば誰だってできるようになるよ」
と、話すと、
「ぼくは何をやってもだめなんだ」と言って、また雨の校庭に視線を移した。
30分近く、ぼくは熱心に話を続けた。帰りがけににっこり笑って帰っていった。それが、ぼくと林の出会いであった。
日が経って、そのことが意識から遠ざかっていったころ、林がすごい乱暴をするということを聞いた。
友人の学用品を毎日のように、窓から投げ捨てたりしていた。石を女の子に投げ付けたり、止めに入った教師にまで投げ付けたりしていた。
習字の筆でたくさんの人の衣服を汚したり、教室中を汚したりした。さらに、カッターナイフを持って、「殺してやる」と友人を追いかけまわしたりした。
ここまでは、腕白坊主の中に時として見られることだった。彼が腕白坊主とちがっていたのは、教師が間に入っても、目は血走り、つりあがり、まるで言うことを聞かなかったことだった、近所の小さい子を、棒で思いきりひっぱたくというようなことをしていた。
乱暴の限りをつくし、叱ると何かにとりつかれたように目を血走らせて口をきかなかいことが、しばしば見られた。
五年生になって、その子を、ぼくは担任することになった。
「馬鹿だから、死にたい」と、ぼくに行っていたその子の言葉が耳にこびりついていた。その時の表情が、目の前にちらついていた。・・・・・・
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こんな子、あなたの教室にいませんか?
上の文は、今から33年前に書かれた『教師修業十年』向山洋一著 明治図書の一節です。
この書に、この子は、「情緒障害」と書かれています。
今では、特別支援を要する子ということになります。
昔もいたのですね。
また、この書に、この子との「出会い」から、成長の過程が書かれています。
この林君は変わっていった、、、、、、。と、、、
向山洋一氏は、
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「子どもができるようになること」
それは、教師の力でそうなっていく。
教師がまた、学び成長することで子どももまた成長していく。
(文責 太田)
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と説く。
「子どもができるようになる教材」。
先人の智恵で作られた、
「子どもができるようになる教材」と「それを使い、指導する教師のユースウェア」によって、子どもができるようになっていく、、、。
両方が相まってできるようになっていく、、。
学べる機会はそうたくさんない。
2月9日(土)
埼玉から木村重夫先生、
栃木から松崎努先生に沖縄にお越しいただく。
是非、多くの方が学んで、多くの子を救ってほしい。
「教師も困難さを感じるが、
一番、困難に感じているのは、特別支援の本人である」
上記の林君は、あなたの教室にいる、、、。
「あなただけが救える」
ーおおた てるあき
P.S.
2月9日(土)ユースウェアセミナー
内容、申し込みは以下から。
P.P.S.
【歳末感謝祭お申込みページ】はこちらから→
2月4日まで。 http://www.tiotoss.jp/user_data/thanksgiving2018.php
P.P.P.S.
安心・安全の保険。TOSS保険。
以下から。
太田輝昭
沖縄県立公立高等学校 保健体育科教諭 TOSS沖縄代表
「知的な学びは楽しいもの」のモットーのもと、授業の腕を上げるために日々、研鑽している。TOSS授業技量検定三段。剣道教士七段。琉球古典音楽野村流音楽協会新人賞。京都教育大卒。琉球大学院教育学研究科教育専攻保健体育専修卒。琉球大学医学部保健学科博士後期課程在学中。単著『「平泳ぎ」「クロール」で25m泳げる10のステップ』(明治
図書出版)編著『高校生が夢中になる知的な授業』(明治図書出版)、共著『沖縄から平和学習へのメッセージ』他多数
H25文部科学省委託事業「教員の資質能力向上に係る先導的取り組み支援授業」受託。